ハワイトライアスロンin湯梨浜2013

昨日6月16日は鳥取県湯梨浜町で開催された
「ハワイトライアスロンin湯梨浜」にスタッフ参加してきました
今回はスタッフ目線で大会を振り返りたいと思います
ちょっと文字多めで、内容も重めです

昨年はバイクの周回チェックをしていましたが、
今年は本業でお手伝い

スイムでの救助は皆生ライフセービング協会の皆さんと、
鳥取大学の皆さんにお手伝いいただきました

今年はスイムコースが変更になり、
本部との距離がかなり遠くなりました

事前の打ち合わせで要救助者をどこに引き上げるか相談しましたが、
ボードはスタート地点、船はちょっと離れたカフェippoの前で
救助者を陸に上げることとしました

AEDとスタッフ1名をそれぞれスタート地点とippoの前に配置
私はスタート地点の近くで待機し、
ippoの前に行く時は走るしかないなと考えていました

午前9時一般の部及びリレーの部スイムスタート

スタートして約20分
「ドクター!!」の声が飛んでくる

ぐったりとした女性が船でスタート地点に運ばれてくる
意識はあるようだが、動けないようで4人がかりで船から陸へ
すぐに診察すると意識はあるけどやや混濁、頻呼吸、
脈は速いけど血圧は良さそう
すぐに救急車を呼ぶという状態では無さそうなので、
ウェットを脱がせて担架で本部に

熱中症過呼吸と考えて、
体を冷やしながら、ペーパーバックで様子を見る
呼吸の状態から大量に水を飲んでいるということは無さそうで、
意識の状態もほぼ清明となっていたけど、
頻呼吸の改善が悪いことを含めて、今ひとつ状態が安定しない
30分程経過を見たところで念のため救急車要請、病院搬送としました

この間にジュニアの選手がゴール付近で倒れて動けないと連絡
行ってみると明らかに熱中症
なぜかウェットスーツを着ているので聞いてみると、
バイク乗車位置手前で脱ぎ忘れたことに気付いたけど、
記録が落ちるのが嫌でそのまま自転車、ランをおこなったと

すぐにウェットを脱がせて、アイシング
3-4人がかりで扇いで、体温を下げる
体温は少しずつ下がったけど、どうしても経口で飲めない
こちらも病院で点滴かなぁと思ったところで、
ようやく回復して少しずつ飲めるようになる
ご両親に今日はしっかり様子を見て、
おかしなことがあればすぐに病院を受診するように伝えて帰宅

ジュニアの選手が落ち着く頃に携帯で呼び出し
バイクで落車した選手がいるとのこと
本人に電話に出てもらうと意識は問題ないが、
背中が痛くてまったく動けないと
私が本部を離れて現地に行くというわけにいかないため、
これは現地に救急車を要請してもらう
その後病院搬送

中等症以上はここまで
あとは靴擦れなどがパラパラと来られましたが、
洗って絆創膏張っておしまい

振り返って考えてみると、
スイム事故はかなり危なかった
すぐに救助されて船に上げられたけど、
ちょっと遅ければ水を飲んでいた可能性が高い
そうなると生死に関わる状況になっていたと思います
迅速に救助して下さったライフセーバーの皆さんにまずは感謝

ずっと言われていたことですが、やはり最大の問題は
どこでどうやって陸に上げるかでしょう
医師としては要救助者が陸に上がってからが仕事ですが、
競技運営にも関わる立場から少し考えてみたいと思います

湯梨浜の場合今回の新しいコースでも一番深いところで
水深150cmぐらいなので、
船に上げる、ボードに上げるというところは
人手があれば何とかいけるように思います

船から陸に上げるのの一番の問題は
船を着ける場所が無いことです
今回はやや強引にスタート地点に寄せて、
人数で船から降ろしましたが競技を中断しているわけではないので
選手と動線が交差してあまり好ましくないように思います

付近の柵を外して船が着けられるようにするか、
やはりカフェippoの方に運ぶのがよいのか、
もう一度良く検討する必要があると思います
N嶋さんのおっしゃったジェットスキーを入れるというのも
来年は実現する必要があると思います

またスイムスタート地点に救護テントをもう1つ出すかどうか、
救急車はどこに来てもらうか、
本部に搬送する時の動線は?など多くの課題がありました
そしてこれだけのことが起こると人手が足りなくなります
来年以降は医師2名体制にできないか考える必要があります

またジュニアの選手の熱中症
選手になぜウェットを着たまま走ったりしたのかと注意するのではなく、
なぜ周りが気付いて、脱がせてあげられなかったのかということを
もっと突き詰める必要があると思います
子供達が安全に楽しく競技を行えるよう、
さらなる環境の整備を行っていかねばと思います

今大会自分では最悪の事態に備えていたつもりでも、
最悪ではない事態にも現場は混乱しました
競技中の事故は自己責任だというのは簡単です
しかし選手の皆さんに無事にゴールして、
そして元気に家族の元に帰っていただけるよう、
大会側も考え続けなければいけませんし、
湯梨浜大会はそういう大会でありたいと思います

今年はいろいろと考えさせられる大会でした
来年以降も少しでもお手伝いさせていただきたいと思います
大会に参加された選手の皆さん、スタッフ、ボランティアの皆さん、
本当にお疲れ様でした!!